本・漫画レビュー

パンセ

「人間は考える葦である」という言葉で有名なパスカルの著作

  • 「人間は考える葦である」
  • 「クレオパトラの鼻。それがもっと低かったなら、大地の全表面は変わっていただろう」
  • 「心情は、理性の知らない、それ自身の理性を持っている」

上記のような、他の書籍にも引用されるような数々の名言を残しているのがパスカルの『パンセ』です。
しかし、これらの名言は間違いなくパスカルが残したものですが、『パンセ』という書籍はパスカルが書き切ったものではないんです。

実は、パスカルが本を書くために残した構想段階のメモを別の人物が編集したもの

この本はパスカルの死後、彼が本を書くために残した構想段階のメモを別の人物が編集したものです。
だから厳密にいえばパスカルの著作ではないとも言えるかもしれません。そして、内容としても、結局は構想段階のメモでしかないので書籍として一貫したまとまりがありません。言ってみれば、徒然なるままに書いてる感じの本です。

君は、向こう側に住んでいる以上、僕は勇士であり、これが正しいことなのだ

上巻にして、かの有名な「人間は考える葦である」という言葉が登場します。
でも、このフレーズよりも私の中で響いた言葉がありますので、下に引用します。

「なぜ私を殺すのだ。〔そちらが優勢なのに。私には武器がないのだ〕――「なんですって。君は水の向こう側に住んでいるのではないか。友よ、もし君がこちら側に住んでいたとしたら、僕は人殺しになるだろうし、君をこんなふうに殺すのは正しくないことだろう。だが、君は、向こう側に住んでいる以上、僕は勇士であり、これが正しいことなのだ」 

中公クラシックス p216

私は、この言葉の内容を生まれもって変わることのない身分の違いや貧富の差についての会話だと捉えました。
この言葉の論理で押し切られる側は堪ったものではないですが、実際にこうした論理が社会でまかり通っているのではないか?…と思います。

このように、現実を考えるキッカケを与えてくれるような言葉が満ちている本です。
一貫した文脈を持った書籍ではないので、気まぐれで開いたページを読んでみる…とかすると結構楽しめそうです。

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