現代社会における正義について、答えの無い事象の答えを探す本
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』を読みました。
現代社会における正義について、答えの無い事象の答えを探す本。アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、ノージックといった古今の哲学者たちの論が具体例を用いて説明されていてわかりやすいです。
哲学に詳しくなくても、分かりやすい内容
筆者の最終的な主張である国家にも道徳性を求めるカント的な正義が正しいかどうかはわかりませんが、一読の価値はあります。何よりもわかりやすいので『純粋理性批判』とか『正義論』とか難しいイメージの哲学書に手を出せないでいた私にとっては絶好の一冊でした。これから正統派の哲学書にも挑戦したいです。功利主義なんかは結構わかりやすいのかなという印象を受けました。
人間は過去を持って生まれる
本書の中で「人間は過去を持って生まれる」というような言葉がありました。これは戦争責任は個人である自分には関係ないと思いがちな世代に生まれた私にとって、はっさせられる言葉でした。だからといって謝罪をすることや、賠償を払うことに賛成はしませんが、問題について考える義務は私達にもあると思います。少なくとも問題について知ろうとしないことは罪ですらあるとのかもしれません。