
日本の社会問題についての本
整理解雇、痴漢冤罪、代理出産、会社と社員の力関係、国家の公務員優遇、政治とカネの問題…この本は非常に多くの社会問題を十数の裁判から取り上げています。
以前、私が大学時代に「裁判員体験」という企画に参加しました。その際、来てくださった弁護士の方が「日本の法制度は遅れている」と言ってましたが、そのことがよく分かりました。
代理出産 を誰も考えもつかなかった時代の法律で、代理出産の問題について決定をすること
時代は変わって、日本人の価値観も倫理観も変わっているにもかかわらず、古い法律で「一律」に裁くのは良いことではないのは明らかです。
本書第三章の代理母の問題はその典型的な例といえるでしょう。「代理出産」なんて誰も考えもつかなかった時代の法律でどうして現代の問題を裁けるでしょうか?
法改正に即応性が必要と感じる
法学部でなくても、公務員を目指していなくても、「ロッキード事件」や「寺西裁判官分限事件」などは日本に住んでいるならば、知っておかなければならないことだと思います。
本書は個々の主張を訴えかけるようなところがあり、十分な説明には欠けるかもしれませんが、それだけに一人でも多くの人に法律や裁判について考えてほしいという思いが強く伝わりました。法律などの知識に疎い人は是非、読んでほしい本です。
逆にいえば、法律に強い人にとっては常識の内容かもしれません。ただ、それほど皆が気づいている問題ならば、なぜすぐに法改正・制度改正をしないのか?時代はとても早いスピードで変わっているにもかかわらず、国に即応性がないのは非常に忌むべきことだと思います。