本・漫画レビュー

蛇にピアス

舌先を二つに分けてしまう人体改造「スプリット・タン」

主人公のルイという女はスプリット・タンと呼ばれる舌先を二つに分けてしまう人体改造に興味を持ちます。
方法は舌にピアスを空け、穴を徐々に大きくしてから繋ぎ目を切ってしまうというものです。聞くからに痛々しい話なのですが、映画の映像で見るよりも小説の文字で読むほうが、痛さが伝わるから不思議ですね。人間の想像は映像を超える、といっても間違いはないと思います。

もはや、オシャレとかじゃない。

通常、ピアスをあけたり、刺青を入れたりするのは「オシャレ」の名の下に行われますが、この物語の主人公は違います。おそらく、身体によって縛り付けられている自己に堪えかねる感情、身体を支配したい感情によるものだと思います。結果、彼女は身体とともに、自分自身を脅かしていったのだと思います。そのため、他人の中に自分を求めたり、酒で現実逃避をしたりします。

自分の身体をぞんざいに扱うことで、身体を感じる

こういったことは小説の中だけでの出来事だろうか?…と考えてしまいます。彼女は、自分の身体をぞんざいに扱うことで、身体を感じている。これは、彼女が、スプリット・タンとかやらない普通の人よりも、ずっと身体について考えている、哲学をしている…とさえ言えるのかもしれません。

この物語を現在の私と同じ年齢で書いた作者を僕は尊敬するとともに、異常だとさえ思います。これはもちろん誉め言葉です。

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